卒業と夢での決闘

 

学校の終了式だった。やっと3ヵ月が終わって疲れた。めちゃくちゃ疲れた。

でも、自分は何が苦手で何を苦痛に感じるのかということが改めて分かって、この3ヵ月がなければもっと重要な場面で失敗をしたかもしれないなと思うと、よかったのかもしれない。

就職して一人暮らしすることが喫緊の目標なんだけど、ヘトヘト。そして仕事内容とか職場の人間関係が合っていても、結局しんどくなるだろうなという確信も持った。無理せず自分の中の基準の一番下のところからやっていきたい。

必ずしも無理して働かなくてもいいけど、就職が決まることでしか小母さんの家を出られないような気持ちになっていて気持ちが追い込まれてる。どういうことかというと、正直な気持ちはあまり出さずに小母さんの期待と価値観に同調して、自立に向けてさも順調に進んでいってるかのように振る舞って自分で退路を塞いできたから、積み上げた「嘘」の塔が高くなりすぎてしんどいということ。この塔から脱出したいんだけど、もう少しだけ積み上げて「無理な就職」という塔に乗り移っちゃろと思ってる訳だ。

これが僕の考えの甘さと未熟さによる結果。僕が全部出ちゃったなという感じ。でもなんとかうまい具合にやっていけたらなぁ。

 

さっき寝てた時の夢の話。

夢の中で目を覚ましたら(この部屋のベッドから目を覚ますという夢)部屋のドアが開いてて2階の踊り場が見えて誰かいた。誰か分からないけど人間じゃなくて、異様な存在でついに出た魔物というような直観が生じて、何が何でも立ち向かって追い出さないといけないと感じた。怖かったけど起き上がって近付いて、出ていけと何度も叫んだ。恐怖のせいでパンチもしてみたけど手応えがなくてこれじゃダメだと思った。もっと近付いて対峙しないといけないと思って肉迫して向き合ってみたら、相手にビンタされたような感覚を覚えた。そしたら「最後に驚かせてやりたかった」と言って消えていった。

ついにやったぞっていう興奮と安堵が入り混じって夢の中で大興奮の大号泣をしていた。

踊場で何度も叫んでるときに、夜遅くに上の階で寝てる小母さんに聞こえてしまうなと思いながら叫んだ。いつもは大人しくして、できる限り顔を合わせないようにとビクビクしてるのに、よっぽど魔物みたいなのと対峙することに真剣で重大だったんだと思う。

この夢は特別な意味があったのかもしれないし、特に意味はないかのもしれない。安直に現実と照らし合わせてみたら、小母さんという存在に縛られて(自縄自縛)、気持ちが袋小路になってるところに本当に立ち向かわないといけない自分の中の敵が現れて、夢の中の自分は小母さんにどう思われるかよりもそいつと対峙することを選んでやりきったということだったんじゃないかと思う。そういうことじゃなくても、意味なんてなかったとしても、それだけで夢から覚めた後でも、オレはやってやったぞという喜びとか満足感を引き摺っている。


小さい子供の頃に何十回も見た夢があって、黒いマントの死神のようななにかが家に訪ねてきてピンポンを押して、ほかの家族はなぜか無関心で毎回僕が出ないといけなくて、玄関を開けたらやっぱり黒いマントの死神みたいなのが立っているという夢。いつもピンポンが鳴った瞬間に全て悟って、周りにちょっとグズったりするけど、やっぱり自分がドアを開けないといけなくて、死神みたいなのを目の前にした瞬間、恐ろしさのあまり何も出来ずに目をぎゅーんと閉じて夢から覚めることしか出来なかった。子供のときだけで、いつの間にかその夢は見なくなった。


そんな夢のことを思い出して、異様な存在と対峙することが今までにあったんだけど、今日、自分が同質に感じたそれと立ち向かえたのが嬉しかった。

ある種の質感を持った象徴的な夢で見たものは、夢と一言で言えないものだ。このときに見た夢の経験は、間違いなく「見た」ではなくて「やった」だったし、そういう意味でそこにあったリアリティーは夢でも現実のものでもなかった。だからこの夢が僕にとってどうであっても、その存在と対峙して倒せたことが嬉しい。

それにしてもそいつと闘って、コレでおさらばと受け取れることを言って消えていったときはめちゃくちゃ遂にやってやったという気持ちに溢れた。ついに姿を現して退治までした興奮と安堵が入り交じって、僕がもし関西人だったら興奮して「どんなもんじゃーーーい!!」と叫びまくってたと思う。亀田興毅みたく「どんなもんじゃい!」「どんなもんじゃーーい!」と言ってたに違いないと思う。

そんな夢を見た。